自力建設 公開コンペ結果発表
一昨日行われた自力建設の公開コンペ。
早速、投票が行われ集計結果をもとに、今年度の設計者兼素人棟梁が決定しました。発表はこの報告の最後で・・・。
まずは、発表された3つの計画案を少し概観してみます。
敷地は、アカデミー校舎から少しだけ距離をとったバスの車庫周辺に3つの案が集中しています。(敷地模型はエンジニア科2年生の力作)
トップバッターの発表は坂田さんの「照らす」
シンプルな使いやすい平面に、黒い屋根と壁が印象的な計画です。1mくらいまで、壁をコンクリートにするなど、清掃などの使い勝手も考慮されています。
解体時は、移動式のハンバーを用いて、解体動物を移動して、処理していく流れで、内臓などの残滓の捨て場所も丁寧に計画されれていました。
タイトルの「照らす」は、狩猟や解体の文化に光を当てるコンセプトから出てきています。実際の内部に落ちる光も、工夫され美しい内部空間が出来上がっていました。
二番手の発表は大上さんの「切り株の学び舎」です。
切り株を意識した六角形の平面に、タイトル通りの解体の学び舎を中心とした計画の組み立てです。六角形にしたことで、外部からいろいろな角度からの視点で内部作業を見ることができるのに加え、ドイツの狩猟場ハイシートをモチーフに、上部からの視点、ガブリより視点と、3つの視点での学習を狙っています。
屋根は乾燥に強い苔を選び緑の屋根とすることで、切り株の上に新しい命が芽生えていることを表現しています。
最後の提案は、佐藤さんの「KAITAI」です。
解体作業と枝肉の切り分け作業を分けるイメージで、小ぶりな空間が2つくっついた平面計画です。コンパクトながら、収納や可動式作業台などを効果的に用いることで、必要十分な広さを確保しています。
屋根は、ヒノキの榑葺きで、背後の景観に溶け込む仕上げ。また丸太をシンボル的に建てて、トラックからの荷下ろしや看板の設置に活用するなど、外構も含めて、丁寧に考えられています。
三者三様の提案でどれも魅力的な計画になっています。
投票された用紙には、聞いていただいた学生、教職員の皆さんのコメントがびっしり。81人の投票がありました。
私自身も誰に投票するかかなり悩みましたが、投票いただいたみなさんの苦悩も伝わってきます。
実際、投票数は、本当に僅差。
トップから三位まで10票も差がついていない状況で、誰が選ばれてもおかしくない状況でした。
結果は、3番手発表の佐藤さんの「KAITAI」に決定。
これから、棟梁の佐藤さんを中心に3人で計画を練っていく作業に入っていきます。
まだまだ竣工までの道のりは長いですが、まずはいただいた意見に目を通し、自らの計画案、これからの計画を考えていきます。
今日からが本当の自力建設のスタートです。
准教授 辻充孝